去年の暮れの出来事。
難民申請中のビルマ人が高田馬場で行方不明になった。おそらく警察に逮捕されたに違いない、とその親族がBRSAに連絡してきた。どこの署にいるか探してほしい、というのだ。
そこで、大瀧会長をはじめとするBRSAのメンバーは、高田馬場近辺の警察署(戸塚署、目白署、新宿署など)に問い合わせたが、いっこうに所在はつかめない。そもそも、難民申請中のビルマ人が多く住む高田馬場近辺の警察は、これらのビルマ人を逮捕することは近頃ではあまりない。
そのようなわけで、事情を知らない鉄道警察隊が、不法滞在外国人ということで逮捕して、遠くの署に連れて行ってしまったのではないか、ということになった。いずれにせよ、手がかりはまるでない。
ところが、しばらくのちに、そのビルマ人が高田馬場から遠くはなれた都内の警察署に留置されているということが意外な経路から明らかになった。ビルマに暮らすそのビルマ人の親族が、日本の親族に「どこそこの署にいる」ということを電話してきたのだ。
つまり、その警察署からビルマの親族に連絡が行ったということなのだが、これはちょっとひどい話だ。なぜなら、ビルマに電話したのが逮捕されたビルマ人にせよ、警察署のだれかにせよ、難民申請中の者に関してビルマに不用意に電話をかけることは、その相手を著しい危険にさらす可能性があるからだ。
その警察署が難民問題に関してしっかりした認識を持っておらず、単なる不法滞在者としか見ていないから、このような配慮に欠けた事態が起きるのだ。
すでに述べたように、難民申請者の多い新宿区や豊島区ではこのようなことは起きないといわれている(少なくとも現在では)。件のビルマ人が連行された署は、ビルマ人難民申請者があまり住んでいない地域であった。
地域ごとにいろいろな状況の違いがあるから、難民の問題に関して警察署でも経験や意識の点で違いがあるのはしょうがないのかもしれない。だが、だからといってその違いを放置しておけば、難民申請者の生活はいつまでたっても守られないことになる。
こうした事態を回避するためには、全国の警察関係者が難民問題に関する基礎的な認識を共有できるようなプログラムを実施することが必要だと思う。そのためならばBRSAはいつでも協力いたします。
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