【BRSAはネーミョージンさんの即時釈放を求めます】
2014年4月1日,ポスト・サフラン・ジェネレーションの代表的政治・社会活動家,ネーミョージン(NAY MYO ZIN)さんが,「平和的集会及び平和的行進法第18条」により逮捕され,3ヶ月の禁固刑を言い渡されました。
彼の活動を支援し,協力してきたBRSAは,彼の即時釈放を求めます。
>>>BRSAが捉えたネーミョージン,逮捕の瞬間
【逮捕の経緯】
今年1月18日にヤンゴン中心部のマハーバンドゥーラ公園周辺で,ビルマ各地からやってきた農民たちによる抗議デモがあり,日頃から農民組合運動を支援しているネーミョージンさんもこれに深く関わっていました。デモの開催には「平和的集会及び平和的行進法」にのっとり警察より許可を得なくてはなりません。このデモにおいても1週間前に許可申請を行ったのですが,デモ開催地には農民は住んでいないという理由で許可が下りませんでした。そこで,農民たちは無許可でデモを行わざるを得ず,そのため,デモの責任者としてネーミョージンさんは警察に訴えられることとなり,チョウタダ郡裁判所で有罪判決が下されました(ネーミョージンさんの実の兄で日本在住のアウンチョウジンさんのFacebook上の投稿を参考にしました。感謝を申し上げます)。
支持者に囲まれながら警察の護送車に乗るネーミョージンさん
(4月1日に支持者撮影)
護送されるネーミョージンさん (4月1日に支持者撮影)
この「平和的集会及び平和的行進法」はかねてから当局により反政府政治活動を抑制するためにも用いられており,ビルマ国内ばかりでなく,国際的にも非難されている法です。
その問題点は次のようなものです。
1)警察は恣意的にデモの開催を不許可とすることができる。これは今回のケースです。
2)警察は政治活動家のどのような活動であれ,「不許可で行った」との理由で恣意的にその活動家を起訴することができる。これは,後に述べるように,ネーミョージンさんが2013年1月に行った村人に対する演説が「不許可であった」として警察が彼を同年11月に逮捕したケースにあたります。
「平和的集会及び平和的行進法」には罰則もあります。
《第18条》 平和的集会と平和的行進の開催において有罪と立証された者は,最大で1年の禁固刑,もしくは最高30,000チャットの罰金刑,もしくはその双方の刑を受けなくてはならない。
このため,現在のビルマの政治運動においては,この第18条の廃止がひとつの大きな目標となっています。
ネーミョージンさんも長らくこの法律の廃止のために身を呈して闘ってきた活動家のひとりです。彼はこの法律や同様の悪法により,たびたび投獄される危機に遭い,実際今回のように投獄されてきました。
しかし,彼は自分が投獄されるという事態を却って悪法廃止の好機と捉え,ネットなどを通じて世論を喚起してきました。
わたしたち,在日ビルマ難民たすけあいの会(BRSA)も,彼の闘いに賛同し,ビルマ政府の不正と悪法を糺し,より民主的なビルマのために彼とともに働くものです。
わたしたちは,より民主的なビルマを作るためならば投獄をも恐れないネーミョージンさんの強い意志に敬意を抱きつつ,この悪法により,警察の悪意により自由を奪われた彼のの即時釈放を強く求め,そのための働きかけを行っています。
なぜなら,彼の釈放こそは,この悪法の撤廃に向けた重要な一歩であると,わたしたちは考えているからです。
村人を対象にしたコンピュータ・コースの開講式
(2013年11月13日熊切拓撮影)
【ネーミョージンさん略歴】
1975年6月10日,ビルマ民族男性として生まれる。
1994年,ピンウールウィンの軍士官学校に第39期生として入学。
1998年,軍士官学校卒業。バゴー管区スワー郡で少尉として第19軽歩兵連隊の小隊の指揮官となる。軍の腐敗と兵士たちの苦しみを目の当たりにする。
2005年,5月軍に除隊願いを提出。当時はシャン州タウンジーで第262軍事警察部隊の副司令(上級大尉)。同年末に除隊許可。
シンガポールに渡り,働きながらDVB(ビルマ民主の声)のラジオ・プログラムを通じて,毎週火曜日にビルマの国民と軍の兵士たちに向けて語りかける。
2007年9月のサフラン革命に参加するため帰国。以後,地下政治活動を行う。
2009年,国民民主連盟(NLD)に加入。青年献血グループのボランティアとして活動。
2011年3月30日,テインセインの大統領に就任し,新ビルマ政府発足。
同年4月2日土曜日夕方午後4時頃,献血をするためにティンガンジュン郡のサンピャ病院に向かう途中,ヤンゴン警察の公安部に逮捕される。
8月26日,インセイン刑務所内の非公開法廷にて,反政府組織とコンタクトを取り,軍の秘密を漏洩したという罪に問われ,電子取引法第33条a項違反により10年の刑を宣告される。
2012年1月13日,大統領恩赦により651人の囚人(うち591人が政治囚)とともにインセイン刑務所から釈放される。
ミャンマー社会発展ネットワーク(MSDN)を結成し公的な政治活動を始める。
【MSDNの活動の目的】
①貧困に苦しむ農民たちの生活向上
②「法の支配」の確立
【具体的な活動】
(エーヤーワディ管区の農村を中心に)
洪水などの自然災害被災者の支援
無料コンピュータ・トレーニング・コース
図書館の建築と図書の寄付
手押し井戸ポンプの寄贈
ソーラーパネルとLEDライト,バッテリーの寄付
(その他の地域も含めて)
農民組合活動の支援
土地を奪われた農民の支援
平和を訴えるデモ行進
カチン州ライザまでの平和行進
悪法改正のための抗議活動
法廷での市民不服従運動
ネーミョージンさんはこれらの活動のすべてをFacebookやYouTubeなどのインターネット・メディアにおいて逐一報告している。
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