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BRSAはネーミョージンさんの釈放を求めます!
  
  BRSAが捉えた  ネーミョージン,逮捕の瞬間
      
           連行されるネーミョージン

           法廷のネーミョージン

2014年1〜3月の活動報告
を掲載しました。

4月の予定
4月6日  ミンウーさんのための法要・月例会議
4月13日 ビルマ水掛け祭りに出店(日比谷公園)

2013年4月23日火曜日

BRSA活動報告会のお知らせ

在日ビルマ難民たすけあいの会(BRSA)活動報告会

日時:4月28日(日曜日)午後6時~7時30分
場所:南大塚地域文化創造館第2会議室
参加費:無料
連絡先:brsajp@gmail.com

内容:
1)アウンサンスーチーさん会見報告
4月13日から19日にかけて来日したアウンサンスーチーさん。4月16日に在日ビルマ政治団体の若手活動家との意見交換会が開催されBRSAか らも3人のメンバーが参加しました。報告会では今回のアウンサンスーチーさんの訪問を振り返りながら、この意見交換会について報告します。

2)ビルマ国内支援プロジェクト報告
BRSAではビルマ国内の支援プロジェクトを進めており、今年の2月には現地視察も行いました。今回の報告では、エーヤワディ・デルタ地帯の農村 の現状と井戸作りのプロジェクトに関してビデオを用いて報告いたします。プロジェクトのあらましに関しては「ビルマ国内支援プロジェクト訪問報告」をご覧ください。

2013年4月2日火曜日

2013年3月の活動報告

《被収容者支援》
茨城県牛久の東日本入国管理センターに収容中の2人の会員のために身元保証支援、仮放免申請支援を行いました。

《会議》
アウンサンスーチーさんの来日集会準備に会として参加しています。

3月17日17:30-21:00 BRSA役員会(南大塚地域文化創造館)
新事務所、水かけ祭りへの出店、アウンサンスーチーさん来日集会の準備について、総会準備などが話し合われました。




3月24日13:00-17:00 BRSA月例集会(南大塚地域文化創造館)
活動報告、会計報告、来年度役員、水かけ祭りの準備などについて話し合いが行われました。




付録Ⅱ 会計報告

付録Ⅱ 会計報告
(1)日本円

収入
¥100,000


支出
①チケット代
②振込手数料
③ビザ
④海外旅行保険料
⑤ドル両替分($393)


¥49,440
¥210
¥3,000
¥9,000
¥37,979

合計

¥99,629

残金


¥371


(2)ドル

収入
$393


支出
①ホテル宿泊費(8泊)

$400

合計

-$7

残金


$0

付録Ⅰ 旅の記録


付録Ⅰ 旅の記録

日付
活動内容
2月13日
(水)
チャイナ・エアラインCI107便にて09:40に成田を発ち、12:40に台湾、台北に到着。台北泊。

2月14日(木)
 チャイナ・エアラインCI7915便にて07:00に台北を発ち、09:50にヤンゴン着。
 88世代学生グループ事務所を訪問し、Ko Ko Gyiさん、Min Zayarさんに面会、インタビューを行い、BRSAより300,000チャットの寄付を行う。
 著名な社会活動家Nay Myo Zinさんの団体、Myanmar Social Development Network(MSDN)にBRSAよりデルタ地域の村の井戸を5つ作るための費用として750,000チャットを寄付。
 著名な俳優Kyaw Thuさんの団体、Free Funeral Service Society(FFSS)を訪問し、運営責任者のAyeyar Maung Maungさんに話を伺う。BRSAから400,000チャットの寄付を手渡す。
 民主化活動を行う学生たちの団体、All Burma Federation of Student Unions(ABFSU)のオフィスを訪問。学生たちの生の声を聞き、またBRSAから活動資金として400,000チャットを寄付する。
 ヤンゴン郊外Shwe Pyi Thar郡のMyo Oo Htan Ta Pin僧院が運営する子どもの施設を訪問。150人の孤児や貧困家庭の子どもたちがここで暮らし学んでいる。CCPとしてとして6ヶ月分600,000チャットを寄付。
2月15日(金)
 MSDNのNay Myo Zinさんに同行し、エーヤーワディ管区を訪問し、農村地帯の現状を視察。パンタノウ郡のAkel Chaung村、Inn Ma村、Inn Tagaw村を訪れる。BRSAがMSDNを通じて寄付した井戸の建設作業を見る。夜は、ヤンゴンのカレン・コミュニティを訪問。
2月16日(土)
 午前中はライザに向けて平和的行進を開始するMSDNのNay Myo Zinさんら一行の出発に立ち会う。午後以降は、ヤンゴンのカチン・コミュニティを訪問する。
2月17日(日)

 午前中はヤンゴンのサンチャウンにあるヤンゴン・カチン・バプテスト教会の礼拝に出席。午後は、青年団体Friends of Children Myanmar(FCM)のメンバーらとともに、カチン人の運営する子どもの施設(Hosana Home, Joy Children Home, Life Garden Life Enhancing Centre)を3つ訪問する。
2月18日(月)
 午前中は休息と来客。午後はヤンゴン郊外Shwe Pyi Thar郡のNawarat僧院の子どもの施設とヤンゴンThaketaのHmankinn Pariyatti Sarthintaik僧院の子どもの施設を訪問。CCPとしてとしてそれぞれの施設に6ヶ月分600,000チャットを寄付。夜は、ヤンゴンのカレン・コミュニティを訪問。
2月19日(火)

 早朝、ヤンゴンの教会団体が組織する若者の集い(Forth Fellow’s Conference)の開会式を視察。その後、FFSSを再訪し、Kyaw Thuさんにインタビュー。また、同団体の運営する診療所などを視察。夕刻、シュエ・ダゴン・パゴダを観光。チャイナタウンにて夕食。
2月20日(水)
 カレン州の州都パアン訪問。早朝出発し正午に到着。カレン人の聖地Zwe Ga Bin山観光。アングリカン教会のパアン教区主教にカレン州の現状についての話を聞く。
2月21日(木)
 パアン観光。カレン民族同盟(KNU)とKNLA(カレン民族解放軍)連絡事務所を訪問し、責任者にインタビュー。正午にパアンを出て、午後6時前にヤンゴン到着。夕食はカチン人の友人たちと。カチン戦争避難民を支援しているYangon Kachin Gender GroupにBRSAより480,000チャット寄付。
2月22日(金)
 チャイナ・エアラインCI7916便にて10:50にヤンゴンを発ち、16:10に台北着。台北泊。

2月23日(土)
 チャイナ・エアラインCI108便にて14:30に台北を発ち、18:25に成田着。

8.ふりかえりと今後のプラン

8.ふりかえりと今後のプラン

今回の訪問には、3つの目的がありました。

①BRSA会員が満足するプログラムを作る。
②ビルマ国内の人々にとって役立つことをする。
③日本人が興味を持つプログラムを作る。

この3つの目標を達成するために、今後は次の2つの活動に焦点を当てたいと思います。

①ビルマ国内支援プロジェクトの資金を増やす。
②在日ビルマ難民だけでなく、多くの日本人にも参加してもらえるような環境を整える。

具体的には次のようなプランを考えています。

①日本語での活動紹介パンフレットの製作
②日本人向けの報告会の開催
③BRSAの活動を記録した映像資料の製作
④日本人向けのビルマ・スタディ・ツアー開催

また、支援プロジェクトに関して、Nay Myo ZinさんよりMoble Library Project(移動図書館プロジェクト)の提案がありました。これは、エーヤーワディ管区の農村の教育の向上を目的とし、本や教材を積んだトラックでエーヤーワディ管区の村々を巡回するプロジェクトです。これらの農村には書籍というものがほとんどなく、人々は社会に対する知識が十分に得ることができませんでした。ですので、このMoble Library Projectの効果は大きいと見込まれます。ぜひともBRSAとして協力したいと考えています。

7.ビルマの現状について

7.ビルマの現状について

現在のビルマは、「民主化が進みつつある」「最後のフロンティア」「発展しつつある国」としてしばしばメディア等で紹介されます。確かに今のビルマの変化は著しいものですが、それにも関わらず、貧困問題、政治問題、社会システムの不備やインフラの未整備など、社会生活の根本部分では軍事政権時代とは変わってはいないという印象を受けました。このまま社会が安定すればいずれはこうした部分も改良されていくはずですが、そのような成熟した社会が確立するまでの間は、社会・教育・人権に関するさまざまな支援活動の意義は大きいと考えられます。

ビルマのこれからの変化において重要となると思われる3つのポイントについてまとめたいと思います。

①政治的変化

政治的自由、報道の自由、民族問題解決への動きは確かにビルマの重要な変化といえます。ですが、多くの政治活動家の見るところ、これらの変化はいまだ一時的なものであり、確定的なものとみなすには早すぎるというものでした。これらの活動家たちがその根拠としてあげるのはおおよそ次のような点です。

*ビルマ社会は未だに軍中心の社会であり、その点は軍事政権時代とは変わっていない。このことが現在の「変革」を不安定なものとしている。
*これまで軍事政権を支えてきたビルマ国民の考え方・態度が変わらなければ本当の変化は起こらない。ビルマを本当に民主的にするためには、権威主義から脱却させるような教育が必要である。
*その活動に対する表立った妨害はないものの、多くの活動家はいまだにビルマ政府の強い監視下にある。これは今なお政治活動が政府にとって危険であることを示している。 

ですので、BRSAとしてはビルマ民主化勢力を支援し、社会が変わるように積極的に活動して行くことが必要だと考えられます。

②経済的変化

ヤンゴンの華やかな変化はほんの一部でしかなく、相変わらずビルマの多くの国民は貧困に苦しんでいます。JICAを含む多くの国外機関やNGOがビルマ発展のために働きはじめていますが、貧困の解決にはまだ時間がかかるでしょう。

ビルマの多くの人々が感じているのは、自分たちの国が「民主化」により豊かになったどころか、かえって貧しくなっているということです。これは、ビルマ国内で貧富の格差がますます拡大していることを意味しています。「ビルマからはミドル・クラスがもはやいなくなってしまった、この国にはほんの一部の金持ちと、それ以外の貧窮者しかいない」という言葉も聞きました。つまり、ビルマの経済発展はいまのところはほんの一握りの人々(cronyと呼ばれる)しか潤していないということです。このような貧富の格差は、社会の不安定要因であり、現在の好ましい変化の障害となる可能性を秘めています。ですので、これまでBRSAが行ってきた貧困層を支援する活動に加えて、貧富の拡大を是正する活動も行う必要があるのではと考えています。

③国民の和解

民族間の不信・対立に加えて、現在のビルマは、宗教間対立に揺れています。こうした問題を解決するのは、異なる立場の人々どうしの対話と相互理解以外にはありませんが、いまのところそのような試みは十分にはなされておらず、またその必要性も一部の宗教者を除けば広くは理解されていないようです。

国民の間の対立は国の安定を脅かす最大のものであり、これこそが長い軍事政権の支配の口実となったことでもありました。それゆえ、ビルマ国民がこの問題をどう解決するかが、ビルマの民主化と平和の鍵ともいえるのです。

5−4.平和のための支援

5−4.平和のための支援

ビルマの民主化にとって国内の平和は最重要課題のひとつであり、BRSAはアラカン州の紛争やカチン州の戦争の被害者のための支援を行っています。今回は、ヤンゴンを拠点に活動するカチン人女性の団体、Yangon Kachin Gender Groupに、カチン戦争避難民への支援物資を輸送するための資金援助(50,000円)を行いました。同団体は、カチンの戦争避難民、特に女性の問題に焦点を当てて活動しているグループで、戦争避難民女性のためのワークショップなどを企画しています。

4.今回BRSAが行った支援活動のまとめ

4.今回BRSAが行った支援活動のまとめ

支援先
金額
(チャット)
金額
(円*)
分類
詳細
Myo Oo Htan Ta Pin僧院が運営する子どもの施設(Shwe Pyi Thar郡)
600,000
約65,000
子ども
貧困家庭のこどもや孤児のための施設に対する6ヶ月分の支援
Nawarat僧院が運営する子どもの施設(Shwe Pyi Thar郡)
600,000
約65,000
子ども
貧困家庭のこどもや孤児のための施設に対する6ヶ月分の支援
Hmankinn Pariyatti Sarthintaik僧院が運営する子どもの施設(Thaketa)
600,000
約65,000
子ども
貧困家庭のこどもや孤児のための施設に対する6ヶ月分の支援
Myanmar Social Development Network
750,000
約82,000
社会
農村の生活改善のため5つの手押し井戸ポンプ建設費用として
Free Funeral Service Society
400,000
約44,000
社会
葬儀・教育・医療などの社会奉仕活動支援
88世代学生グループ
300,000
約33,000
政治
ビルマ民主化のための政治活動支援
All Burma Federation of Student Unions
300,000
約33,000
政治
ビルマ民主化のための政治活動支援
Yangon Kachin Gender Group
480,000
50,000*
平和
カチン州の戦争避難民のための支援物資輸送費の一部
総額
4,030,000
約440,000



*2013年2月18日にヤンゴンにて両替。

6.その他の活動

6.その他の活動

(1)カチン・コミュニティ訪問

在日カチン人の紹介により、ヤンゴンのカチン・コミュニティを訪問し、カチン州の戦争についての人々の意見を聞いたり、カチン人の運営する子どもの施設などを視察しました。


(2)カレン州パアン訪問

カレン州の州都パアンを訪問し、カレン民族同盟(KNU)とビルマ政府が停戦交渉を進む中、人々の暮らしの変化や、難民と国内避難民の現状について取材しました。


2013年4月1日月曜日

3.訪問の概要

3.訪問の概要

訪問は2013年2月13日から23日にかけて実施され、乗り継ぎ地の台湾に往路と復路で1泊ずつしたため、ビルマ国内での滞在は8泊9日となりました。

BRSAは在日ビルマ難民を会員とする団体であり、会員は政治的理由からビルマ国内へと戻ることはできません。そのため、今回は日本人であるBRSA会長の熊切拓が代表として派遣されました。訪問にあたりBRSA会計より100,000円の補助をいただきました(会計報告は後にあります)。

2月14日から22日までの間にBRSAの代表として訪問した団体・場所を次に挙げます。なお、BRSAのプロジェクトに関する部分はすべて日本のBRSAの役員たちによりコーディネートされました。

《BRSA代表としての訪問先》
*88世代学生グループ(88 Generation Students Group)
*All Burma Federation of Student Unions(ABFSU)
*Myanmar Social Development Network(MSDN)
*Free Funeral Service Society(FFSS)
*Myo Oo Htan Ta Pin僧院の運営する子どもの施設
*Nawarat僧院の運営する子どもの施設
*Hmankinn Pariyatti Sarthintaik僧院の運営する子どもの施設
*エーヤーワディ管区パンタノウ郡の農村訪問
*Yangon Kachin Gender Group

《それ以外の訪問先》
*ヤンゴンのカレン・コミュニティヤンゴンのカチン・コミュニティ
*サンチャウンにあるカチン教会
*カチン人の運営する子どもの施設を3つ
*カレン州の州都パアン訪問
*アングリカン教会のパアン教区主教面会
*カレン民族同盟(KNU)とKNLA(カレン民族解放軍)連絡事務所


2.今回の訪問の目的

2.今回の訪問の目的

BRSAはビルマ国内支援プロジェクトの柱として、チャイルドケア・プロジェクト(Child Care Project, CCP)の開始を決定しました。CCPは、ビルマの将来を担う子どもたちの健康と教育を支援することを目的とし、ビルマ国内の子どもの施設への経済的支援を行います。

そこで、今回の訪問の第一の目的として挙げられるのが、このCCPの対象となる3つの子どもの施設の視察と子どもたちの状況に関する調査です。

さらにCCPに加えて次の3つの分野での支援活動も今回の訪問の目的に含まれていました。

*ビルマ国内のNGOへの支援
*政治活動家への支援
*カチン戦争避難民への支援

これらの支援活動のほかにもうひとつ重要な目的、現在のビルマの状況の調査と分析がありました。そのため、訪問中には多くの方々への聞き取り調査が行われました。


5−1.BRSAチャイルド・ケア・プロジェクト

5−1BRSAチャイルド・ケア・プロジェクト

軍事政権による長い支配と国境における戦争が生み出したのは、教育の荒廃と家庭の崩壊でした。そのため、現在のビルマには、孤児、片方の親しかいない子ども、育児放棄された子ども、親が養うことのできない子どもがたくさんおり、これらの子どもたちは十分な教育を受けることができません。

このため多くの仏教僧院やキリスト教教会・団体が子どもたちのための無料の学校や、家庭を失った子どもたちのための寄宿舎をビルマ各地で運営しています。

ことにヤンゴンにはこうした子どもの施設が多く、はっきりした統計はないものの1,000近くもあるといわれています。こうした施設は通常、個人の寄付によって運営され、ほとんどが政府からの支援を受けてはいません。そのため多くが小規模で、寄宿する子どもたちは通常10人から50人の間にあるようです。

小規模の寄宿舎は通常学校を運営してはいませんが、今回BRSAが訪問した3つの寄宿舎のいずれも学校を併設していました。

BRSAチャイルド・ケア・プロジェクトはこのような子どもの施設を支援するプロジェクトで、現在以下の3つの施設に月100,000チャット(約10,000円)を運営費として寄付しています。その目的は、ビルマの将来を担う子どもたちの生活と教育状況を改善することにあります。

(1)Myo Oo Htan Ta Pin僧院の運営する子どもの施設

この僧院は、ヤンゴン市内から車で45分ほどのShwe Pyi Thar郡にあります。この僧院は1987年の創建で、子どものための施設をはじめたのは1993年のことです。運営に当たられているのはU Thu Sake Thaという64才のお坊さんです。施設の運営する小学校では6才から13才までの155人の子どもたちが学んでいます。その多くは貧困家庭の子ども、孤児、放棄された子どもたちです。この僧院に暮らしている子どももいますが、近隣の村や、近くの別の僧院から通っている子どもたちもいます。施設では5人の先生が働いており、月給は400,000チャット(約4,000円)です。

施設の運営は僧院への寄付によってまかなわれ、子どもたちへの食事やスタッフへの給料などに当てられています。経済的には厳しく「たくさんのものが必要」とのことです。特に机、椅子、図書を必要としているとのことでした。





(2)Nawarat僧院の運営する子どもの施設

貧困層の多く暮らすShwe Pyi Tharにあるこの僧院では、70人の小学生たちが学んでいます。このうち40人が近隣の貧困家庭より通い、30人の男の子と女の子が僧院の敷地内の寄宿舎に暮らしています。最年少は生後2ヶ月の女児で、1歳の兄とともにサイカー(自転車タクシー)乗り場に捨てられていました。赤ちゃんはこの僧院にちなんでNawaratと名づけられ、僧院内に暮らす家族によって世話をされています。

この僧院が創建されたのは2010年のこと。その翌年に学校と寄宿舎が始まりました。現在は2人のお坊さんと8人の先生がこの施設で働いています。先生への給与は月に30,000チャット(約3,000円)。これに子どもたちの食費などを加えると毎月1,000,000チャット(約100,000円)かかるということです。施設は個人の寄付によって運営されています。 子どもたちの教室は2つありますが、ひとつは現在建築途中です。教師への給与が不十分であること、子どもたちの寄宿舎が粗末であること、子どもたちの衣服と食料が不足していることが現在の問題とのことでした。

電気は通じてはいますが、停電が多いのに困っているそうで、水に関しては寄付により浄水器を設置してあるので問題はないとのことでした。




(3)Hmankinn Pariyatti Sarthintaik僧院の運営する子どもの施設

ヤンゴンにあるこの僧院には1,500人の子どもたちが学ぶ大きな学校、Hman Kin Monastic Schoolがあります。この学校の建物は2007年に日本政府と国民の支援により建設されたそうです(ODAの草の根無償資金協力)。ここでは28人の先生が教えています。

僧院には89人の男の子たちが暮らしています。これらの子どもたちは孤児や貧困家庭の子どもたちで、シャン州からやってきたシャンやパラウンの子どもたちも多くいます。これらの子どもたちのために洗濯や炊事をするスタッフもいます。また僧院は3人の医師が務める無料診療所も運営しています。 施設の運営資金となっているのは、さまざまな団体・個人からの寄付です。月に約5,000,000チャットかかるそうです。寄付は常にあるわけではなく、時には僧院の貴金属を質に出して凌ぐこともあるとのことでした。





今回の訪問した施設のいずれにおいても、僧侶の方々が情熱を持って運営しており、非常な感銘を受けました。おのおのの滞在時間が短かったので、子どもたちの背景に関して十分調査をすることができませんでしたが、基本的なことは理解できたように思います。

BRSAのプログラムとして今後の課題とすべき点は次のようなものです。

*寄付金は各々の施設に月に100,000チャットでしたが、これは必ずしも十分とはいえません。
*来訪に際してはささやかでも子どもたちへのプレゼントを用意すべきでした。
*子どもたちの背景に関してもっと情報を収集することにより、ビルマの現状に関してより明確な理解が得られると考えられます。

これらの子どもへの支援はBRSAの「たすけあい」の精神に叶うものであり、今後も重要なプログラムとして継続して行きたいと考えています。

1.BRSAのビルマ国内支援プロジェクト開始の背景

1.BRSAのビルマ国内支援プロジェクト開始の背景

BRSAは日本国内のビルマ難民支援を目的として設立されましたが、会の活動の根幹をなす「たすけあい」の精神の表れとして、設立当初からビルマ国内への支援活動を行ってきました。その最初となるのが、2008年5月にビルマを襲ったサイクロン「ナルギス」の被災者支援活動であり、このときには都内での街頭募金などを通じて約100万円の支援を行いました。その後も、ビルマ国内の災害や弾圧が生じるたびに、その被災者・被害者への支援金を送ってきました。 

2008年5月にビルマ国内で承認された新憲法に基づいて2010年に総選挙が行われ、その翌年2011年3月には元軍人のテインセインを大統領とする新政府が発足し、軍事政権は少なくとも名目上は終了しました。国民的な指導者であるアウンサンスーチーさんは軟禁から解放され、2012年4月より国会議員として政治活動を行っています。

BRSAを含む国外のビルマ民主化団体は、現在のビルマの変化が本当の「民主化」と呼べるものなのかについてはいまだ懐疑的ではあるものの、ビルマという国が本当に変わりつつあること、そして後戻りしないように積極的に働きかけるべきであるということに関しては確信しています。

このような状況の変化に応じて、BRSAはビルマ国内の民主化の推進と平和の確立のために、これまで以上に積極的に関与すべきだと認識するようになり、2012年10月の臨時総会においてビルマ国内での支援活動の開始を決議し、その準備を進めてきました。

BRSAの国内支援プロジェクトには次の3つの目標があります。

(1)ビルマ国内での支援活動を通じてビルマの問題の根源である貧困問題を解決する。
(2)ビルマ国内での支援活動を通じて、BRSA会員にとっての心のよりどころを創造する。
(3)ビルマ国内への支援活動を考えている日本人とビルマの現場との架け橋となる。

言い換えるならば、BRSAの支援活動は、BRSA会員・ビルマ社会・日本社会の3つを豊かにする活動なのです。



要旨

要旨

本報告は、在日ビルマ難民たすけあいの会(BRSA)のビルマ(ミャンマー)における支援プロジェクトのために2013年2月13日~23日に実施されたビルマ訪問に関するものです。今回のBRSAのビルマ国内支援内容は、大きく次の4つに分かれます。①BRSAチャイルド・ケア・プロジェクト(子どもの施設への支援)、②社会活動支援(農村の生活向上のための支援)、③民主化のための政治活動支援、④平和のための支援(カチン戦争避難民を対象とする)。本報告ではこれらのプロジェクトの詳細について報告・評価が行われています。またビルマの現状についても分析を行い、ビルマの変化は今なお確定的なものとはいえず、民主化を進めるために社会・教育・人権に関する多くの支援活動が必要であると結論付けました。


謝辞

謝辞


BRSAの会員、役員の献身と理解、そしてビルマ国内のパートナー、友人たち、特にEiさんとNyiさんご夫婦のおかげで、今回の訪問はとても実りの多いものとなりました。心から感謝を申し上げます。


5−2.社会活動支援

5−2.社会活動支援

軍事政権の支配を抜け出て、新しいビルマを作るためには、貧困問題を解決する必要があります。BRSAはそのような活動を続けている2つの団体、Myanmar Social Development Network(MSDN)とFree Funeral Service Society(FFSS)とかねてから協力関係にあり、今回の訪問では実際に活動現場を視察することができました。

(1)Myanmar Social Development Network(MSDN)

MSDNは「連帯・発展・平和」をモットーに貧しい人々の生活の向上のために活動しているネットワークです。中心人物はNay Myo Zinさんという男性で、日々活発に働いています。彼はもともとビルマ軍人で、士官学校を出た後、12年間にわたり軍で働き、上尉(Senior Captain)にまでなりました。しかし、兵士たちの置かれている悲惨な現状と軍事政権上層部の腐敗に疑問を抱くようになり、2005年に軍を辞めて政治活動をはじめました。最初はシンガポールで働きながら毎週火曜日インターネット・ラジオで政権批判を行い、名を知られるようになりました。2007年9月にサフラン革命が起きるとビルマに帰り、国内で地下活動を行いました。しかし、インターネットで政府を批判したため2011年4月2日に逮捕され投獄されました。2012年1月13日に釈放されると、MSDNを組織し、公に活動をはじめました。彼はインターネットを通じて活動を公表し、ビルマの国民から広く支持されている活動家の1人です。

MSDNの主な活動は、エーヤーワディ管区の農村地帯の生活向上のための活動です。具体的には無料コンピュータ教室、小規模な図書館の設置、災害支援、手押し井戸ポンプの建設です。このほか、政治活動も行い、2月16日にはヤンゴンからカチン独立機構の本拠のあるライザに向けて平和行進を組織しました。


(2)MSDNを通じた手押し井戸ポンプの寄贈

ビルマの「経済発展」はヤンゴンのほんの一部だけに及んでいるというのが現状で、今な多くの地域が貧困状態に置かれています。BRSAは2月15日にNay Myo Zinさんらとともにエーヤーワディ管区パンタノウ郡の農村を訪問し、開発から取り残された農村部の厳しい現状、電気も医療も教育も届かない貧しい状況を実際に見ることができました。とくに問題なのは、水の問題であり、多くの村人は川の水を飲用に用いています。しかし、同時に村人たちは、この川で身体を洗い、洗濯し、トイレとして使っているのです。こうした劣悪な衛生状態を改善するために、MSDNは村に手押し井戸ポンプを寄贈する活動を行っています。

手押し井戸ポンプの建設には、掘る深さにより100,000から150,000チャットかかり、今回BRSAは5基分として750,000チャット寄付いたしました。

2月15日にパンタノウ郡を訪問したさいには、Inn Ma村とInn Tagaw村で3つのポンプ建設作業を見ることができました。 農村部での水の問題の深刻さを目の当たりにし、BRSAとしては今後も手押し井戸ポンプの寄贈に力を入れたいと考えています。

とはいうものの、井戸水に関しては、水質の問題という大事なことを考慮しなくてはなりません。具体的には砒素による汚染ですが、日本のNPOアジア砒素ネットワーク(ANN)によれば、エーヤーワディ川流域も大きな砒素汚染地帯のひとつだとのことです。またヤンゴンの衛生問題の専門家によれば、地下50~80メートルの第1帯水層の水は汚染されており、安全な水を得るためには地下120~150メートルの第2帯水層まで掘らなくてはならないといいます。さらに井戸やポンプの形状によっても安全性に違いが生じるとのことです。ANNのホームページ(http://www.asia-arsenic.jp)でも、安全な水を得るための方法がさまざまに記されています。いずれにせよ、安全な井戸を作るためには、入念な準備と水質検査、そして十分な資金が必要なようです。今後は水の問題の専門家の意見を聞きつつ、井戸のプロジェクトを進めていきたいと思います。







(3)Free Funeral Service Society(FFSS)

FFSSは著名な俳優Kyaw Thuさんが設立したNGOであり、そのきっかけは2008年5月のサイクロン「ナルギス」の犠牲者の葬儀のための支援活動でした。現在は、貧困者遺族のための葬儀費用支援のほか、教育、医療活動なども行っています。ヤンゴンにある本部には診療所も併設されています。





5−3.政治活動支援

5−3.政治活動支援

ビルマの民主化をさらに進めるために、BRSAは2つの民主化政治活動団体に寄付を行いました。

(1)88世代学生グループ(88 Generation Students Group)

この団体は1988年の全国的民主化運動を率いた学生指導者たちから成り、多くが10~18年の投獄経験を持つ方々です。今回はKo Ko GyiさんとMin Zayarさんにお会いして、現在のビルマの変化の評価やお二人の投獄体験、現在の活動などについてお話を聞きました。Ko Ko Gyiさんの見解としては、現在のビルマは変わりつつあるが、制度自体は古いままであり、権威主義に陥りがちな行政とそれに追随してしまう国民の精神を変える必要があるとのことで、そのために具体的な啓発プログラムを行っているとのことでした。






(2)All Burma Federation of Student Unions

ABFSUの歴史はビルマの学生運動の歴史であるといっても過言ないほど重要な組織ですが、それゆえに長い間政府の弾圧の対象となってきました。自由に活動ができるようになったのは2012年のことで、それまでは多くの学生が投獄されていました。現在は、再び学生たちを組織するために活動をしており、BRSAが訪問した2月14日には長らく禁止されていた総会を開催しており、ビルマ各地から若者が集っていました。

いずれも重要な働きをしている団体であり、BRSAにとってこれらの団体を支援することは今後も非常に重要であるといえます。各々の団体の具体的な活動に対してBRSAとして加わったり、支援したりできるようになればさらによいのでは思います。






ビルマ国内支援プロジェクト訪問報告目次

BRSAビルマ(ミャンマー)国内
支援プロジェクト訪問報告
2013年2月13日~23日







支援プロジェクトの詳細と報告




付録