「日本の難民認定制度の現状」
第1回BRSAセミナーでの熊澤新さん(アムネスティ・インターナショナル)の講演要約
Ⅰ 現在の難民認定申請の流れ(2005年以後)
1)申請
2)複数回の口頭審査(インタビュー)
3)第一次審査結果
①難民として認定
②不認定だが在留特別許可
③不認定、在留許可もなし
③(もしくは②)の場合は、異議申立てを行う。
4)異議申立て(不認定通知より1週間以内)
5)異議申立てに関係する資料提出(6週間以内)
6)第2次審査(お台場)
時間は1時間から1時間半、1日だけ。
7)第2次審査結果
①難民として認定
②不認定だが在留特別許可
③不認定、在留許可もなし
8)③(もしくは②)の場合は、裁判か再申請。
II ビルマ国籍者申請者の現状
・今年は申請者が急増。おそらく1000人以上。
・サフラン革命以来、在留特別許可が増えている。難民認定は増えず。申請者が増えているため、不認定(不許可)も増えている。
・申請者の急増のため、インタビューの回数が減り時間も短縮化。かつては4〜10回だったのが、現在は2回に。
・また難民性を証明する資料の提出もせかされるようになっている。
III 再申請か裁判か
・裁判をする人は少なくなっている。
・今年から再申請が増えている。
・裁判か再申請かは、ケースバイケース。
・再申請は本来入管は受け付けないというが、ほとんどの場合は受け付けている。
・再申請を拒否する場合は、1回目の申請とまったく同じ内容で申請する場合(結果が同じだから)。
・したがって、再申請する場合はゆっくり時間をかけて熟慮の上申請書を準備すること。
・再申請の際に申請書とともに提出する質問書は、不認定時に渡された不認定理由書をもとに記す。
・一般的な不認定理由(参考)
①あなたは政治団体のリーダーではないから、帰国しても危なくない。
②パスポートが本人名義であるため、政府当局に狙われていたとはいえない。
③日本で長い間活動もせず、また難民申請もしなかった。
④あなたの供述には信憑性がない。
⑤(少数民族の場合)関係資料によれば、あなたの民族・宗教はビルマでは迫害されていない。
・ビルマ以外の国の難民申請者の中には4回5回と再申請している人もいる。
IV 仮放免と仮滞在
・仮放免と仮滞在の人は就労許可を得ることはできない。
・外国人を雇用する場合、雇用主は行政に報告義務がある。その際に就労許可が必要となり、そのため解雇される場合がある。
・ビザを持っている人が難民申請をした場合、特定活動というビザをもらえる。6ヶ月後に就労可能なビザに切り替えることが可能。しかし、これは仮放免・仮滞在の人には当てはまらない。
V 国籍
・入管の見方によれば、オーバーステイのビルマ国籍者の間に生まれた子どもはビルマ国籍。日本国籍でも、無国籍でもない。入管の考える無国籍とは、国が無くなった場合。
・成人のビルマ人が日本人の養子となっても、日本国籍は認められず、またビザにも無関係。入管は「普通養子」を親子とはみなさない。
VI 在留特別許可
・現在在留特別許可が増えている。
・親兄弟を呼び寄せることができるが、難民ビザとは異なり、呼び寄せた親族を定住者とすることはできない。出るのは観光ビザのみ。
・親族を呼び寄せる際に、保証人が必要。そのため保証人を手配するブローカーが出現し、被害報告もある。
VII 難民申請者の逮捕
難民申請者が警察に逮捕されて、入管に収容されるケースがあるが、これは難民申請をしたときの名前と、所持しているパスポートの名前が異なる場合に起こっている。そのような人は注意が必要。
文責:熊切
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